SSブログ

これ買いました:「一〇〇年前の世界一周 ある青年の撮った日本と世界」 [本]

とあるドイツ人青年が1905年に行った世界一周旅行の記録。各地で記録した写真と回想録に解説が加えられた紀行本。

一〇〇年前の世界一周 ある青年の撮った日本と世界

1905年当時の世界中の写真を見ているだけでも面白い。観光地の美しい風景写真もありますが、それよりも街中や一般の人々を写した日常の風景がとても興味をひきます。

歴史的な瞬間を切り取った写真というのは、教科書や記録写真で見ることがありますが、逆に当時の取り立てて何の変哲もない、普通の日常の風景とはどういうものだったのか、見たことがなかったことに気づきます。映画やドラマのセットではない、日常の風景が写っています。

  • ドイツからニューヨークへの船上、迫害から逃れようと出国するユダヤの人々
  • 高層ビルに自動車、高架の鉄道と馬車とが交わるニューヨークの近代的な街角
  • 日露戦争直後の東京で、木造二階建ての商店が並ぶ街路とそこを行き交う人々
  • 日本の端正な和室、調度品や装飾、ふすまの絵柄などのディテール
  • 「日本昔ばなし」に出てくるような、日本のド田舎の風景
  • 点在する簡素な平屋と人々、寂寥感が漂う朝鮮の街並み
  • 立派な城壁とは対照的に、荒れて雑然としてみえる紫禁城の周辺
  • 人も建築も密集度が高く、活気が溢れ開放的な雰囲気の上海
  • 〝去年の写真〟と言われてもわからないかもしれないインドの沐浴風景… などなど

やはり興味深いのは日本の写真。日露戦争に勝利したとはいえ欧米よりも近代化で遅れていたのだから、ニューヨークの街と比べても文明に差があるのは当然ですが、その歴然具合には驚き。長い歴史の中のほんのこの100年で、世界の都市は驚くほど変化し、均質化して距離が縮まったのだというのがわかります。

という感じでパラパラと写真を見てるだけでも楽しめるのですが、この青年の旅行を通じた成長から帰国後の人生までを辿るので、一代記の物語としても面白いです。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。