SSブログ

これ買いました:大長編ドラえもん [本]

昨年末に、ふと思い立って大長編ドラえもんをまとめ買いしました。

今回買ったのは、小学生の頃に繰り返し丹念に読んで思い入れの深い1〜9巻までですが、あらためて、どれもストーリーの構成がキレイというか完璧に思えます。そのせいか、20年経った今読み直してみても、面白くて十分楽しめます。

1.のび太の恐竜
(1983)
2.のび太の宇宙開拓史
(1984)
3.のび太の大魔境
(1985)
4.のび太の海底鬼岩城
(1983)
5.のび太の魔界大冒険
(1984)
6.のび太の宇宙小戦争
(1985)
7.のび太と鉄人兵団
(1987)
8.のび太と竜の騎士
(1988)
9.のび太の日本誕生
(1989)

毎回、のび太と新たなゲストとの出会いをきっかけに、異世界(白亜紀/惑星/魔界/アフリカの秘境 etc)への冒険が始まります。仲間たちと探検やら交流やら繰り広げているうちに、その世界での重大な危機(人類が滅ぶ/惑星が滅ぶ/悪魔やロボットの大群が侵攻してくる etc...)を知ることになるのですが、その危機に挑む意味や価値を見いだすと、みんなで一致団結して困難に立ち向かいます(←これがカッコいい)。

そしていつも最後に、お決まりの絶体絶命の窮地に追い込まれまるのですが、あっと驚く思いがけない展開で見事な逆転劇をみせると、大団円と感動的な別れで、いい感じにフィナーレを迎えます。大きく拡げた風呂敷や伏線が、最後に見事に収斂して微塵の破綻も物足りなさも感じさせません。30歳も過ぎてどうかとは思うのですが、日頃欠け気味だった達成感と満足感を、ドラえもんに満たしてもらいました。。

やっぱり大長編のドラえもんはすばらしいですね。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:ロバート・A・ハインライン「夏への扉」 [本]

今さらながら、初めて読んだ。

ハヤカワのSF古典は、翻訳なのかもとの文章のせいなのか、個人的には回りくどい上に淡々としていて読みにくいという印象があったのだけど、この新訳はすんなり入ってきて読みやすかった(旧訳読んでないので比較はできないけど)。物語もナゾを追う緊張感があり、先が気になって夜通しで一気に読んでしまった。

タイムトラベルものの場合、その時間差を使って、〝未来に起きていたある出来事は、実はこういう過去に起因していた!〟みたいなワザを入れるのがおきまりだけど、そういう意味ではシンプルだったように思う。そう思ってしまったのはおそらく、その後の進化したタイムトラベル作品を数多く見てしまっているせいかもしれないので仕方ない。また、人物描写が足りないせいか、えらい都合良く見える展開もあるのだけど、、、なんだかんだで楽しい小説だった。

ちなみに猫ネコ言うので、猫がもっと物語のキーマン(キーキャット?)になるのかと思ったら、それほどでもなかったのが少しなんだかなぁ。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:辻村 浩「Twitter API プログラミング」 [本]

TwitterのAPIの解説本。断片的にしか知らなかったので、一通り目を通した。

仕様が刻々と変化してる生モノなので、キャッチアップするにはWeb上のドキュメントを見るのが一番いいのだろうけど、とりあえずざっと簡単に(そして日本語で...)全体を概観するのに、良さそうだったので購入した(というか現時点で、意外にも類似の本があまり出ていない)。

一連のAPIが、体系的にまとめられ解説されているシンプルな内容。応用とかテクニックとかそういうのはあまり載っていない。必要最小限という感じだけど、一応複数スクリプト言語用にサンプルが用意されているので、真似してすぐ試せたりはできる。

自分はプログラムの参照用ではなく、要件をまとめる上で必要な、機能把握の意味で買ったのだけど、そういう目的で買うのにも無駄がなくていいと思った。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:西澤泰彦「日本の植民地建築―帝国に築かれたネットワーク」/ソウル行ってきた。 [本]

先日ソウルに行ったのですが、下の本を読んでから行きました。

近代戦時下の植民地建築について分析した本です。学生時代に調べていたこともあり、建築や意匠、政治状況について述べた本は幾つか読んできたのですが、この本では加えて建築組織(営繕)や建築家、部材の生産や調達、植民地間のネットワークなど、周辺の出来事からの調査が丁寧で、それが論考に厚みを持たせています。もとは論文だったものを書籍用に要約したものらしいのですが、楽しく読ませる内容です。個人的には、満州事変前後の変化や戦後の話が興味深く読めました。

という感じで、気分的に盛り上がって行ったはいいのですが、実際ソウルには朝鮮総督府は残ってないし(1995年に解体済み。それはわかっていたのでいいとしても)、旧京城駅舎も旧京城府庁舎も、光化門も修復中で見られず、マトモに見られたのは旧朝鮮銀行くらいでした。もう少しよく調べておけば良かった。。

しかし、この本を読んだあとで現地に行ったことで、朝鮮総督府が建てられた場所の持つ意味というかインパクトというものが、少し感じられた気がします。

というのも、朝鮮総督府は1910年に、王宮だった景福宮の正門・光化門を撤去して建てられた庁舎です。ソウルの都市の中心を、構造的に貫く軸線上にあった景福宮の正門を廃して、総督府が建てられた意味は、是非はさておき象徴的であったと想像することはできます。

勝手なことを言えばですが、レプリカの光化門を再び復活させるよりも、21世紀のオリジナルを考えても良かったんかじゃないかとも思います。賛否はあると思いますが、新しい歴史を更新していくという意味で。

Photos

▼景福宮から光化門広場の方角を望む(2010年4月現在)

朝鮮総督府が撤去されて、現在はすっきり。奥に修復中の光化門(裏側)が少し覗いている。

参考:1995年に撮影されたほぼ同じ場所からの写真

(出典:Wikipedia 著者:Wikipedia user Canadiana)
こちらは朝鮮総督府が残っていた頃の写真。手前が景福宮の門で、奥に見える西洋風の建物が旧朝鮮総督府庁舎。景観を無視したすごい組み合わせに汗。1995年に解体。

▼修復中の光化門正面

修復中なので覆い隠されてたが、覆っている壁がちょっとしたオブジェっぽくてかっこいい。光化門の輪郭をかたどって模様が浮き出している。

▼改修中の旧京城駅(旧ソウル駅)

こちらも工事中。。Wikipedia情報では2010年6月に「ソウル駅文化館」(仮称)というものになるらしい。

▼旧朝鮮銀行本館(現:韓国銀行貨幣金融博物館)

設計は赤レンガの東京駅などで有名な辰野金吾、と思っていたら、前出の本によると実際の設計は辰野葛西事務所の中村與資平という人らしい。

Books

ちなみに建築の表象や作用とかいう意味では、下記の本が面白かった記憶があります。


日本の近代建築について。意匠や様式を政治的・社会的背景から読み解いていく本。井上章一「戦時下日本の建築家―アート・キッチュ・ジャパネスク」「つくられた桂離宮神話」は目から鱗が多い。長谷川堯「神殿か獄舎か」は、自分の大学時代は絶版だったので図書館で全ページコピーした記憶が。。 再発ばんざい。


こちらは記号論的に解釈していく本。ロラン・バルト「エッフェル塔」は記号論を知る上でもわかりやすいし、松浦 寿輝「エッフェル塔試論」と読み比べても面白い。D.I. アグレスト「圏外からの建築―映画・写真・鏡・身体」は内容を良く憶えてないが、面白かった記憶はある。。


構造主義、ナショナリズムの定番本。ミシェル・フーコー「監獄の誕生―監視と処罰」はパノプティコンから始まり、近代の「人間」を形成する社会的「装置」について分析。ベネディクト・アンダーソン「想像の共同体」も「国民」を形成させる国家の技術について分析。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:「ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは」 [本]

ザッポス( http://www.zappos.com )という企業の、企業文化を紹介した本を読んだ。

ザッポスは靴のEC企業で、昨年'09にAmazonに買収されたことでも話題になったらしい会社。靴の販売が事業ではあるのだけど、顧客サービスを非常に重視していて、靴というより「感動体験」を売ることで顧客との関係を築き、利益を上げているという話。その企業文化が注目を集めてるとのことで、徹底した顧客サービスへの取り組みが紹介されている。(→参考:著者によるザッポスの紹介記事

取り組みはいろいろあるのだけど、考え方としておもしろかったのは、普通はコストとして捉えられるコンタクトセンター(サポート窓口など)こそが、一番のブランディングの機会であるからして、ソコでの顧客サービスを最大化するために投資を行うのだという視点。

また顧客と接する従業員は、マニュアル対応するのではなく、自由に個性を発揮できてこそ、顧客と個人的・感情的な価値ある関係性を築くことができるとし、組織や人事制度、施策などが、それを目的に組み立てられているという点。

ユニークな企業文化のお話なので、取り入れるにはハードル高い感じだけど、顧客と意味ある関係性を築くとはどういうことか、といったコミュニケーションについて考えるにはとても有意な本だと思う。自分の仕事範囲(Webのサービス運営)でも、同意や反省点、明日から意識しようと思える内容が多々あった。


ちなみに蛇足だけど、穿った見方をすれば少し違和感もあって、

  • ザッポス従業員は一見、自由そうだけど、労働力だけでなく個性から思考のすべてを、進んで企業に捧げるよう規律訓練されてるようにもみえる
  • 著者のザッポス礼賛が激しいせいか、都度紹介されるザッポスの逸話やら美談やらが、少し胡散臭くみえる
という点が少々気になる。サービスは尖った方がいいけど、組織制度は正直、ほどほどが良いなぁと思う。。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:東浩紀「クォンタム・ファミリーズ」(小説) [本]

ん、東浩紀が小説?と本屋で見つけて訝ったけど、評判良さそうだったので期待せずに買ってみた。

ひと言で言えば、パラレルワールドもの。複数の平行世界を舞台にした、主人公の男性とその家族を巡る物語。作者の構築する作品世界の作り込み度合と、息をつかせぬけっこうドラマチックな物語にずっぽり飲み込まれた。

10年くらい前に手に取ったデリダ関連の評論はさっぱりだったけど、こっちの小説は超おもろい。

近未来の描写、量子回路や波動関数が云々かんぬんといった平行世界の設定から、時空が交差する物語展開まで、とにかく緻密で難しくて、読み進めるほどに混乱してついていけなくなる。矛盾しているようだけど、それも含めて面白くて、説明したらこれから読む人にもったいないと思えるほどだった。

ちなみに、こういうのが逐一理解できなくても、出来事はつかめるし問題なく楽しめるので安心ですたぶん。


この作品に限らず、パラレルワールドを用いた作品には面白ものが多いなぁと常々思っていたけど、その理由はこの小説の中でも語られる、村上春樹の「35歳問題」的なことに起因するのかもしれないと、余計な感傷を自覚させられた気もする。はぁ。

パラレルワールド - wikipedia


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:南木佳士「草すべり」/ 浅間山登山 [本]

勧められて読んだ。南木佳士という芥川賞作家の、私小説の短編集。

ある中年医師の日々の出来事を通じて、ダウナー気味な人生観みたいなのがぽつぽつと語られる短編集。全編、登山を題材にしており、主に長野県の浅間山とその周辺が舞台。

なかでも表題作の「草すべり」がすごく良かった。といってもストーリー自体はあっさりしたもの。ある日この主人公のもとに、かつて学生時代に気になっていた同級生(女性)から数十年ぶりに連絡が来て、浅間山登山に誘われ、数十年ぶりに再会することになる。あとは浅間山登山の一連の道程と情景が、淡々と描かれるだけで、物語自体にはたいした起伏は無い。

ただ、淡々として多くを語らない字面に反して、行間から想像させて、感じさせるものがあまりに多いので面白かった。

描写される情景や、女性との言葉少ないやりとり、主人公を通じてみる女性のしぐさなどを通じて、この女性の身上をあれこれ想像し、そして感じながら読み進んでいく感じ。そして中年だけあって、その内容が深くて、やや重い。とりあえず読み手に委ねる部分が大きいので、年齢をもっと重ねた時に読み返したら、また感じ方が違ってくるかも、とも思った。

小説やら映画やら、解説が多くて親切というか情報が過多で想像することが疎かになりがちな鑑賞に慣れ切っていたので、そういう意味でも新鮮な作品。いい意味でサービス精神に欠ける。楽しかった。


浅間山には去年、2度ほど登ってきたところだったので、主人公が見る情景がありありと浮かんできた。そういう意味でも楽しい。ちなみに〝草すべり〟とは、黒斑山(浅間山の外輪山のひとつ)付近の稜線から、カルデラの窪みに向かって下る途中にある急坂スポット。

浅間山写真(2009年5月)

車坂峠方面から登り、トーミの頭を望む。
反対側からトーミの頭を見上げたところ。
草すべりを上から見下ろしたところ。超急坂。道もわかりにくくてかなり怖い。
草すべりを下っているところ。眼下には湯の平が広がる。奥には前掛山。
ふもと近くから草すべりを見上げたところ。実際は写真で見る以上に急で怖い。
草すべりのふもとから、湯の平に向かう。針葉樹がやや深くなる。
賽の河原から望む浅間山(前掛山)。この辺りまでくると、荒涼とした景色に一変する。
前掛山とは反対側、賽の河原から望む外輪山の稜線。
おそらく仙人岳あたりから、外輪山に沿って黒斑山方面を望んだところ。

おおまかなロケーション


大きな地図で見る


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:末次由紀「ちはやふる」 [本]

おもしろい、という話を伝え聞いたので正月にまとめて読んだ「ちはやふる」。本屋でも平積みだった。

競技かるたの世界を舞台に、美人な女子高生がクイーン(女性部門の日本一)を目指して仲間と奮闘する青春モノ。

扱う題材こそ特殊だけど、ストーリーはスポ根少年漫画にありそうな感じで、あまり珍しくはない。けれどテンション高くて面白かった。

あと、脇役の女の子部員がいい。百人一首と着物が好きな子で、かるたは強くないが、歌の背景がわかれば札の見え方も変わってくると、歌の持つ意味を主人公に教える役。この漫画を立体的にして、単なるスポ根にさせてない部分だと思う。美貌とスピードと、感性とポテンシャルとユーモアを兼ね備えた主人公と、似たような美男美女ばかりだったら、たぶん飽きた。

現在7巻まで発売中。思えば7巻いっきに買うなんて最近だと当たり前にやってるが、学生の頃を思うとなんと贅沢か。食費を切り詰め、本やCD代をちょびちょび捻出してた頃が懐かしい。…つってもまあ3千円そこそこなんだけど。


カレカノ以来の津田雅美も買ってみた。うーん、あの頃の凄さと比べると、どうにもスイッチが入ってない感が拭えない。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

これ買いました:河瀬誠「戦略思考コンプリートブック」 [本]

会社で受けさせてもらった研修で、事前の参考書籍に指定されていた本。そうでもなければ買ってはいなかった。

ビジネス書の類はあまり読んでないので、この本が他と比べて良い本なのかどうかわからないですが、これまで受けてきた研修のエッセンスが体系的に収まっている上に、解説も実践にあてはめて説明されてて親切。よく目にするようなフレームワークについても一通り説明されているので、参照用にも使えるのではと思う。グッド。

つまり、これをマスターすれば一端のビジネスパースンに。

…と思ってはいるんですが、仕事で生かしていませんね。反省。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

コレ買いました:小説 南々井梢著「コカンセツ! 」 [本]

男子新体操部が舞台の青春小説。縁あって購入。

コカンセツ! (Edge)

コカンセツ! (Edge)

男の新体操はあまりにカッコ悪く、そして虐げられるということで、男子新体操部に所属する高校生たちが、先輩や顧問の目を盗んで部の転覆を決意。HIP HOP部への転向を画策して、あれやこれやとおバカな計画を進めるストーリー。


男の新体操というのはまったく知らなかったけど、その辺も丁寧に(新体操とはどれだけマイナーなのかを)説明してくれてます。野球やサッカーといったメインストリームではなく、日陰で女っ気のない、情けない方の青春に所属する高校生たちが、周囲からの蔑みに腐ったり、発起するも想定外の展開に引っ込みがつかなくなったり…と、彼らのダメさ加減に笑いつつも共感してしまう感じ。

おバカな会話や発想、高いテンションに引き込まれてあっという間に読了。自分はなんとなく、矢口史靖映画みたいな絵を想像しながら楽しめた。


いささか自虐的すぎるきらいもあるのだけど、なにより、そういう虐げられた立場から一発、逆転してやろうという心意気は、何ものにも通じる普遍的な魅力だなあと強く思った次第。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。