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これ買いました:キェシロフスキ監督「トリコロール(Trois Couleurs)」Blu-ray [映画]

キェシェロフスキ監督の三部作「トリコロール」。LDからの買い換えで、Blu-ray版BOXを米Amazonで購入。クライテリオンからのリリースで(link)、日本語字幕はナシです(劇中はフランス語で、英語字幕はちゃんとあります)。

今まで見ていたのがLD(Laser Disc)だったので、画質については比較のしようがないですが、当然ながらキレイでした。HD化でフィルムの粗さも目立つようにもなりましたが、“New high-definition digital restorations”とあるので、おそらくフィルムの修復も行われているのではと思われます(気付かなかった...)。

本作の場合、画質以上に、すべてのカットが(ほんとうにすべてのカットがどれも)絵として見入ってしまうので、HD化されてさらに一段とため息という感じです。それにしても若かりし日のジュリエット・ビノシュやジュリー・デルピー、イレーヌ・ジャコブの美しさたるや...

作品はフランスを舞台に描いた「Bleu(青の愛)」「Blanc(白の愛)」「Rouge(赤の愛)」の三部作。「Bleu」は事故で夫と娘を失った作曲家(ジュリエット・ビノシュ)が、深い喪失と孤独から、自分を取り戻していくまでを描いた物語です。ガラスの飾りから夜のプールまで、青を基調した絵作りが印象的で美しい限りです。

ちなみにHDリマスターの効果として、「Bleu」で主人公と同じアパートに住むダンサー女の子が、プールサイドで振り返りざまにスカートがめくれるシーンで、主人公が指摘する通り本当にノーパンだったのがよくわかるようになりました。さすがBlu-ray。。


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これ買いました:ソフィア・コッポラ監督「Lost In Translation」Blu-ray版 [映画]

2003年公開の映画。ソフィア・コッポラ監督で主演はスカーレット・ヨハンソン。オフィシャルはこちら

昨年公開の新作「SOMEWHERE」がBlu-rayで発売されたので、旧作の「Lost~」もBD化を期待していたのですが、日本では発売される気配が一向に無いので、あきらめて米国版を取り寄せました。当然日本語字幕は無いので、英語字幕で頑張ることになります。。

HD化したので当然、解像度が上がっているのですが、本作の場合はキレイになったというより、フィルムの質感が一段と出るようになったという印象です。最近はパリっとしたクリアな絵に慣れきっていたので、暗部でのざらついた粒子感などが新鮮で、作品内容と相まっていい感じに雰囲気を出してます。

肝心の作品内容は、主人公(たぶん監督の投影)が抱えている疎外感や焦燥感を、異国の地(日本)という舞台を生かして描いている私小説のような作品です。物語の起伏も少なく、淡々と描写してるだけなので、それほど面白いものではないです。オシャレなのが若干鼻につく向きもあると思いますが(汗)、主人公たちが結構ナイーブで、個人的には好きでよく見返しています。

↓左が北米BD版で右が日本語版DVDです。

どうでもいいですが、この頃のスカーレット・ヨハンソンは可愛かったですね。。


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これ買いました:「わたしを離さないで」(原題:Never Let Me Go) [映画]

カズオ・イシグロの長編小説の映画化。若干ネタバレ含みます。

舞台は現代英国の牧歌的な田舎町ですが、人間のクローン生産と臓器提供が制度化されて、合法的に行われている、という仮定の世界のお話です。臓器を提供するために生まれた主人公(キャリー・マリガン)の回想に始まり、子供時代に過ごした寄宿学校での日々や友人たちとの出来事、そして大人になり迎える親友や恋人たちとの別れが描かれます。

設定が示唆するようになかなかヘビーな作品で、鑑賞後はやりどころのない気分になります…。
登場人物たちは、臓器提供というあらかじめ決められた命の目的や役割を、所与のものとして受け入れる以外に選択肢を持たないのですが、しかしクローンであるという出自以外は普通の人間と変わらないので、自我や感情を持ち合わせています。恋人と過ごすためにせめてもう少しだけ猶予が欲しい、、、というささやかな願いすらも叶わない、絶対的な壁を前に描かれる、彼ら・彼女らの静かな感情の発露が、形容のしようがないほど残酷に映りました。。

作品についてはいろいろな見方があると思いますが、個人的には人間の残酷さを逆照射する物語だと受け止めています。人間が自ら創造した「人間」と対峙するという命題は、個人的にとても惹かれるテーマで、フランケンシュタインの怪物にはじまり、手塚治虫「火の鳥」や映画「ブレードランナー」などでも用いられてますが、自分としては、この作品で描かれる少年少女たちの悲哀はまさに、殺戮を繰り返すブレードランナーのレプリカントに重なって泣けます。。

なお、映画版は(良くも悪くも)若干サービス精神に欠けるというか、背景や物語で明示的に語られていない部分が多いので、原作小説もおすすめです。小説では世界観の設定から出来事のディテール、その時々の感情が詳しく語られるので、映画では想像に委ねられていた部分がだいぶ補われます。

それにしてもしかし、前髪ありバージョンのキーラ・ナイトレイもまた、かなりかわいいですね。。


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これ買いました:映画「エンジェル ウォーズ(Sucker Punch)」 [映画]

最近、“ザック監督”というと、大方の人はサッカー日本代表のザッケローニ監督だと思うのですが、自分にとっては断然ザック・スナイダー監督です。「エンジェル ウォーズ(原題:Sucker Punch)」を観てそう思うことにしました。

邦題タイトルやパッケージも微妙にダサいので微妙なのですが、実際はパッケージの印象とは裏腹に、映像もストーリーも一筋縄ではない、執拗なこだわりと作家性が伝わってくるダークファンタジーです。

精神病院施設に収容されている少女たちが、脱出するために命を懸けて戦うお話なのですが、幾つかの精神世界を行き来する「インセプション」みたいなメタ構造になっています。主人公の踊る“ダンス”をひとつのトリガーに、音楽にあわせてファンタジー世界にトリップし、そこでなぜか人じゃないもの(侍の亡霊やゾンビ兵士、ドラゴンetc)と戦って、脱出に必要なキーアイテムを集めていくというストーリーです。ダンスのメタファーとして展開する戦闘シーンが、ミュージックビデオのようにも楽しめるのですが、個人的にはBjorkの「Army Of Me」にシビれました…。

物語のラストは、ソコに戻るのか!というメタ構造ゆえのオチがありますが(汗)、結末についてもすべて語られる訳ではなく、鑑賞者に解釈する余地を残した(いい意味での…)後味の悪さがあります。一件落着でスカッと解決しない点は、同じザック監督の「ウォッチメン」にも通じるので、こういう作風(または性格)なんでしょう。。

ビジュアルと演出も特徴的でカッコいいのですが、戦闘シーンが始まった瞬間に紀里谷監督の「CASSHERN」や「GOEMON」がぱっと浮かびました。シーンの数々がオマージュのようにも見えます。もともと日本アニメのオタクっぽい設定が随所に取り入れられているので、もしかしたら影響を受けてるのではないかな…という気がします。「CASSHERN」カッコいいですよね…。

ちなみにBDには特典映像で短編アニメが収録されていて、精神世界で展開した戦闘のサイドストーリー集になっています。アニマトリックスみたいでこれもナイスでした。


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これ見ました:コクリコ坂から [映画]

あまり期待せずなかば惰性で観に行ったのですが、予想を裏切られて良かったです。。公式サイト>>

↓原作

原作が少女漫画(1980年に「なかよし」に連載)なのですが、自分のような人間(三十代・疲れ気味の男性)でも普通に楽しめました。原作では恋愛中心ですが、映画では原作の設定やストーリー、出来事をベースにしながらも、家族や学校生活に新たな物語軸や要素が盛り込まれていて、ラブストーリーだけではないメッセージ性のある青春ドラマとして、間口と奥行きが広げられてます。

個人的には、ここ15年ぐらいのジブリ作品の中でいちばん良かった気がします。ジブリ作品はここのところ、物語がキレイに収束しないモヤモヤというか残尿感を覚えるような作品ばかりで、イマイチ締まりがないなあと思っていたのですが、本作はその点、キチンと落としてくれて後味もスッキリです。ファンタジーや奇抜な展開こそありませんが、ちょっとこそばゆくて感動的な、ジブリらしい素敵な作品だと思います。


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これ見ました:ザ・パシフィック [映画]

第二次世界大戦の太平洋戦線を舞台にした戦場ドラマ。スティーヴン・スピルバーグが手がける、第二次大戦シリーズの第三弾。

第一作目がノルマンディー上陸作戦を舞台にした映画「プライベート・ライアン 」、二作目がヨーロッパ戦線が舞台のドラマ「バンド・オブ・ブラザース 」。それに続く第三作目が本作「ザ・パシフィック」で、ガダルカナルに始まり、ペリリュー島、そして沖縄を舞台に繰り広げられた日米の戦闘を、米軍の青年兵たちの視点を借りて描いています。

「プライベート〜」がすごく好きで、「バンド〜」もなかなかでしたが、自分的にはこの「ザ・パシフィック」が最高でした。全10話・約10時間と長丁場でひたすら戦闘なのですが、戦場シーンの臨場感や恐ろしさは群を抜いていると思います。絶望的なまでに壮絶な戦闘の繰り返しと、兵士たちの激しい消耗、そして次第に崩壊していく精神状態を前に、見る方も常に緊張で気が休まりませんでした。死闘を繰り広げる相手が「日本人」だというのも、一方的になれず休まらない要因にあったと思いますが。。

作品では実在した3人の兵士を軸に、実話をベースにエピソードが描かれるのですが、自分はユージン・スレッジという青年の物語が一番、心に迫るものがありました。医者の裕福な家庭で育ち、病弱ながらも正義感が強く、戦地へも志願して意気揚々と赴いたものの…戦場の現実を目の当たりにして絶望と極限状態に落ちていく様子が描かれます。それでも部隊の友人たちと戦闘を生き抜く姿に、逞しい人間の成長が描かれていたと思います。演じたジョゼフ・マゼロの目が印象的でした。

ちなみにこのユージン・スレッジは戦争の体験を綴った著作を残していて(ペリリュー・沖縄戦記 )、日本でも文庫で手に入るみたいです。


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これ見ました:映画「ソーシャル・ネットワーク」 [映画]

なかなか今更感が漂うのですが、映画を見逃したのでBlu-rayをレンタルしました「ソーシャル・ネットワーク」。

言わずもがなFacebookが舞台。先に抱えていた2つの訴訟を軸に、創業からドラマチックな成長を遂げたサクセスストーリーと、その裏側の人間ドラマを回想する物語です。評判通りのおもしろさで、最後まであっという間でした。

デヴィッド・フィンチャー監督は期待を裏切らないところがさすがと思った一方で、敢えて言えば「ソーシャル・ネットワーク」というタイトルの割には、ストーリー展開上は別にSNS(Facebook)である必然性もたいしてなかったような気がします。リアリティと話題性には十分、寄与しているとは思いますが、タイトルだけにちょっと期待していたので。。

とはいえ、映画を見ていてSNSだなぁと感じたシーンもいくつかあって、ルームメイトが気になる女の子に彼氏がいるのか気に病む姿をみて、交際ステータス機能を思いついた点(展開が漫画みたいですが…)とか、あとラストシーンでザッカーバーグが、かわいい担当弁護士のウォールを繰り返しリロードしているカットとか。なんというかそういう部分が印象に残りました。


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これ見ました:映画「英国王のスピーチ」 [映画]

今年のアカデミー賞作品賞を受賞した「英国王のスピーチ」を観てきました。

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第二次世界大戦直前の英国、ヒトラーの迫る影にだんだんと緊張が張り詰めてゆく王室が舞台。のちのイギリス王ジョージ6世が、王族としての責務と自身の吃音との間に悩み苦しみ、そして克服してゆくまでを描いたお話。史実がベースとのこと。

今年のアカデミー賞の作品賞を受賞し、評価も非常に高かったので観てきました。吃音による度重なるスピーチの失敗や王としての重責など、苦しみ積もる中で吃音を克服するためのトレーニングを重ね、最後のさいごにバッチリ決める、感動とカタルシスのストーリーで、エンターテイメントとして素直に面白かったです。

という感じで、ソツ無く楽しめ見所もいろいろあった作品でしたが、個人的にはそれ以上に心に残るほどでは無かったかなぁという感じでもありました。以上。


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これ見ました:ソフィア・コッポラ監督「SOMEWHERE」 [映画]

ソフィア・コッポラ監督の最新作。封切り早々見に行ってきました。

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フェラーリを乗り回し、贅沢と女と豪遊の日々を送る映画スターの父親と、離婚した前妻と暮らす娘の、父娘二人のお話。普段は離れて暮らす11歳の娘をしばらく預かることになった父親が、娘と一緒に過ごす慣れない日々を通じて、だんだんと変化していく様子を描いた作品です。

オッサンと若い娘という組み合わせに、主人公たちが空虚な心をもてあますという点で(あと舞台が高級ホテルという点も…)、前々作の「ロスト・イン・トランスレーション」に近いなぁという印象です。「ロスト〜」では主人公たちの儚い心の交感がありましたが、今作では、煌びやかな生活に流されて気づくことがなかった空虚な自分に気づき、うちひしがれ、そして変わっていく父親の変化が見どころになのかと思われます。

映画では最後、その父親の変化を象徴するような終わり方をさせるのですが、個人的にはこの最後のシーンだけが、実写でやるには少し安直な感じがして苦笑いでした。その点以外はソフィア・コッポラ監督らしい、大人な遊びとおしゃれ感漂う演出に、Phoenixな音楽でいい感じです。内容が深い or 無いで賛否両論ありそうですが…

ところで、作品の方向とは逆行するのですが、日常生活でフェラーリを乗り回す自堕落な父親が超カッコ良かったです。。


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これ買いました:キェシロフスキ監督「ふたりのベロニカ」 [映画]

キェシロフスキ監督の1991年の作品。リマスターの廉価版DVDが発売されてました。

舞台はポーランドの田舎町とフランスのパリ。2つの国に同時に生まれた同姓同名でうり二つのベロニカ(イレーヌ・ジャコブ 二役)という女性を主人公に、二人の人生の交錯を神秘的に描いた作品です。

ポーランドのベロニカは作品の前半早々で若くして命を落としてしまうのですが、そういった彼女の人生が、もう片方のベロニカにっとてどういう意味を持っていたのか、パリのベロニカを通じて表現されます。見ている人には分からないのですが、物語の最後にそうした二人の関係が、第三者を通じて仄めかされます。

映像的には二人の日常が静かに描かれるだけなので、刺激の強い映画に慣れてると退屈してしまうかもしれませんが、東欧らしい寒々しさが漂う風景の中に、キレイな女優さんと技巧的な映像と、そしてほんの少しファンタジックな展開があって、最後に儚い気持ちになる素敵な映画です。デカローグ然り、トリコロール然り、キェシロフスキ監督の趣ある東欧の空気感+少し不思議なお話、という組み合わせが個人的に好みです。Blu-rayで出てくれないかな。。


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