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これ買いました:D.A.ノーマン著「インビジブルコンピュータ―PCから情報アプライアンスへ」 [本]

「誰のためのデザイン?」などで有名な認知科学者 D.A.ノーマン氏による、コンピュータのインターフェースに関する著作。2000年に出版された「パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう!」が改題されて2009年に新装再発売されたもの。

人間中心のユーザーインターフェースについて論じてきた著者が、その延長線上としてユビキタスコンピューティング(という言葉自体が少し懐かしさを感じさせる...)について論じた著作。情報環境は複雑で取り扱いの難しいコンピュータ中心から脱却して、人間中心で自然に利用できる情報アプライアンス(タスクベースのシンプルな専用コンピュータ)に移行されていくべき、という未来のあり方についてのお話です。

書かれてから10年以上経った現在、Google+Androidスマートフォンなどのデバイスが既に多くの提言を実現しており、そして残りに関しても彼らが中心的な役割を担っていくのだろうと予感させるものがあります。しかしその一方で、スマートフォンも見方によってはコンピュータを単にそのまま小さくしただけと言え、まだまだ十分に複雑であり、著者の思想でいえば過渡的なものにすぎないという気もしてきます。

いずれにせよ、電池や無線など著者の挙げるようなハード的な技術的要件はもうだいぶ揃っているように見えます。10年以上経って、そろそろ実現してもいい頃合いだろうと思われることばかりでもあったりするのですが、どうなんでしょう。著者がクリステンセンの破壊的イノベーションを引用するように、周辺から何者かが現れて、気づいたらいつの間にかガラリと変わっているのかも知れません。。


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これ買いました:Frank Moss著「MITメディアラボ 魔法のイノベーション・パワー」 [本]

MITメディアラボ前所長のフランク・モス氏によるメディアラボ紹介本。


パラパラ立ち読みしたら、進行形の研究内容がずらっと紹介されていたのでちょろっと買ってみました。スマート電気自動車やパワードスーツなどは、スケールが大きくてなかなか感想も出てこないのですが(汗)、個人的には、研究機関で取り組でいるARというか、実世界指向インタフェース的なものの今を知りたかったので、楽しめました。

といっても基本的には概要やエピソードの紹介程度なので、詳しく知りたいと思ったら別途どうにか調べないといけないですね。。密かにネグロポンテの「ビーイング・デジタル」やアラン・ケイのような新しい期待感や思想みたいなものも期待していたのですが、そこは、んー。。という感じです。研究内容はすごいのだとは思うのですが。。



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これ買いました:新井紀子著「コンピュータが仕事を奪う」 [本]

少し前にNHKスペシャルで放送されたスーパーコンピュータ(スパコン)の特集を見ていて、気になったので購入。番組とこの本とは直接には関係無いのですが、著者がAI(人工知能)の研究者として番組の取材を受けていたのがきっかけ。

番組と本書とで、扱っている題材に大きな違いはなく、どちらもスパコンが可能にする未来の話です。NHKの番組では膨大なデータと処理能力を背景に、高度に知的活動を担うようになったスパコンが、金融や医療、ITなど様々な分野で今どのように活用され、そしてどこに向かっているのか、最新の取り組みについて広くルポした内容でした。

本書ではさらに、機械の発展が多くの肉体労働を代替してきたように、今度はスパコンが人間しかできないと思われていた多くのデスクワークを代替し(奪い)始めていることを指摘します。コンピュータを使う仕事と、コンピュータをサポートする(使役される)仕事に二分されるというのですが、しかしこの辺はAdSenseひとつ見ても明らかなように、IT業界にいると全く異論を感じません。。

というと危機を煽る本にもみえますが(タイトルもちょっとあざとい…)、内容自体はすごく基本的な「数学」の本です。そのようなスパコンを実現たらしめているのは数学なので、まずは数学を知ろうという主旨。自分としては「演繹」と「帰納」について認識を大きく改めさせられたり(汗)、この年で苦手領域に気づかされたりと、(本自体は面白いのですが)気分的に少しヘコみました。。


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これ買いました:鉄道ねこ 英国の駅舎に暮らす猫を訪ねて [本]

英国の地方に残る保存鉄道の、駅舎で飼われている(住みついている)ネコを取材した本。日本でも、猫の駅長(たまちゃん)が話題になってましたが、あれの英国版みたいな感じ…?

テーマが「英国」「猫」「鉄道」とあまり脈絡の無さそうな組み合わせなので、著者(知り合い)が趣味を強引にこじつけたものと思ってたのですが(失礼!)、英国の駅舎では昔、ネズミ退治に猫を飼うことが多かったらしく、駅舎&猫の組み合わせは、実はそれなりに歴史的背景があったようです。駅猫がテーマの絵本シリーズや画家もいるようで、一般にも馴染み深い組み合わせなのかもしれません。

日本でも猫の駅長が話題になってましたが、この本で紹介するのはそういうお祭りノリの猫ではなくて、ごく普通の猫です。著者とカメラマンが地方を巡りながら、駅舎で人々と交流する日常の姿を、ほのぼのと紹介しています。駅猫という役職柄(?)、毛並みのキレイな血統種というより、逞しい半野良な猫ばかりですが、しぐさをよく捕らえた写真が多くてかわいいです。

取材先は、いずれも地方の保存鉄道という一度は廃線になった鉄道を観光用に復活させた路線ばかりなのですが、地域のボランティアで鉄道を運営しているらしく、そういう取り組みが各地であるというのにも驚きました。保存鉄道というだけあって、駅舎も汽車も年代物のレトロな雰囲気で、なんだかタイムスリップしたみたいな感じ。こんな田舎で猫と戯れながら少しのんびりしたい...と思うようなほのぼの本です。


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コレ買いました:スティーブン・レヴィ著「グーグル - ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ」 [本]

ジャーナリストのスティーヴン・レビーによるGoogle本。600ページほどあって比較的厚い本ですが(自炊したので持ち運びが楽チン!)、面白くて一気に読んでしまった。

著者はこれまでも、テクノロジーや技術者に焦点を当てたドキュメントを多数書いてきた人で、ハッカーと呼ばれるような人々や、コンピューターカルチャーの隆盛を書いた「ハッカーズ 」や、情報の暗号化技術を巡る描いた「暗号化 プライバシーを救った反乱者たち 」などを出してます。題材となる技術やバックグランドの解説はもちろんですが、携わった技術者たちのモチベーションや空気感を伝えるのに本当に長けていて、ドラマとしても非常に面白く読めてしまうので、個人的に好きな作家です。

今回も手に汗握る(?)内容で、Google社内での長期取材を許可された著者が、内側からGoogleを描いたところが、数多あるGoogle本と(おそらく)大きく違う点なのだと思います。コアとなる検索と広告事業に始まり、物議を醸したBooksや中国進出、そしてAndroidに至るまで、その内側を、会議での様子やインタビューなどを引用しながら生々しく描いてます。サービスの登場や仕様変更、細かいUIの修正まで、変化を日々ユーザーとして感じとってきた自分としては、都度向こう側でどのような意志決定が行われてきたのか興味深く読めました。

個人的には、ある幹部がデザイナーの提案に対して、作り手の意志や主観が入りすぎているとNGを出したエピソードで、「グーグルの製品はマシン主導であり、マシンによってつくられている。それが私たちを強力にし、私たちの製品を偉大にしているのです」という一節が印象的でした。データ主導はGoogleでなくとも行われていることですが、孤高なまでの理想主義と、それを実現するストイックで首尾一貫した企業の性格はやはりステキです。ステキすぎて参考にはできませんが。。

しかし、本書でいちばん興味深かったのは、過去の解説よりも、そういったGoogleの特異さや独自の戦略が直面する現在のWebの状況で、Facebookの台頭に対して焦りや迷走が描かれているエピローグかと思います。

これまでGoogleはコアである検索とは一見、関係なさそうなサービスもたくさん提供してきましたが、Webの発展と拡大が、結果的に広告ビジネスに寄与するというモデルによって、Webの膨張と比例してその規模を拡大させてきました。がしかし、Facebookの台頭はGoogleの領域外のWebが発生し拡大することを意味し、大きな脅威になりつつあるというのが現在、直面している状況です。本章ではソーシャルメディア分野での悉くの失敗や焦りと、Google +1のローンチまでが描かれますが、ソーシャルグラフを大きな要素として加えたWebの転換にどう対応していくのか、GoogleだけでなくWebを考える上でも面白いものだと思います。

ちなみに1990年代末以降の手元のコンピューターしか知らない自分にとって、スティーヴン・レビー氏の他の本は、いま自明のように享受しているテクノロジーが実際はどのような人々の上に蓄積され獲得されたものであったのかを垣間見る上で、とてもとっつきやすい本だったので、敢えてそういうことを知ろうかなと思う時間のある人にはおすすめです。。


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これ買いました:「ライト、ついてますか―問題発見の人間学」 [本]

問題解決について書かれた啓発本。良書と推薦されていることが多いので、手に取ってみました。

「問題解決」というより問題の発見方法について書かれた本で、ロジカルシンキングのような具体的な手法やフレームワークではなく、それらに取り組む根本的な姿勢について考えさせてくれる内容です。自分ではあまり読むことのないタイプの本ですが、ストーリーや語り口が面白いので一気に読んでしまいました。

エレベーターの待ち時間が長くて苦情が出ているオフィスビルや、入国審査で書類が1枚足りず立ち往生する女性の話など、いくつかの寓話を例に、それらの現場で直面する問題が提示されます。状況は違えど、どの寓話も「これあるなぁ」と心当たりがあるものばかりで都度、苦い気分になるのですが(汗)、本書ではそれらの「問題」をどのように認識しアプローチすべきなのか示唆を与えてくれます。

具体的な手法ではなく、取り組む姿勢や考え方の話です。自分が問題に直面した際も、寓話のように解決するかどうかはさておき、とりあえず解決策に急がずに、まず「問題」をどう捉え定義すべきか、立ち止まって一息きちんと考えるようにしようと戒めました。何かと問題に深入りしてしまう傾向の方にオススメかもです。。


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これ買いました:タンタンの冒険 [本]

小学生の頃に読みふけったタンタンの冒険旅行ですが、おトクなペーパーバック版が出ていたのでBOXセットをオトナ買いしました。福音館書店 >>

自分が知ってるのは10作目くらいまでですが、全部で24作も出ていたようで、ペーパーバック版では6冊ごとにまとめたBOXセット(全4BOX)もあわせて現在進行形で刊行中です。なんで今このタイミングでペーパーバック版が?と思ったら、どうやらDREAMWORKSにより映画化され、今冬に公開が控えているようです。

読むのはおよそ20年以上ぶりですが、しっかり内容を覚えている上に、今読んでも普通に面白くて楽しめます。タンタンが世界中を駆け巡って冒険するので、自分はこれで世界の異文化の存在を知ったと言っても過言でないくらいで、子供ながらに興味関心と妄想をかき立てられた素敵な冒険活劇です。


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これ買いました:WEB+DB PRESS Vol.63 [本]

気になる特集があるとたまに買うWEB+DB PRESS。パラパラみてたら、今号はOAuthの解説が面白そうだったので購入。

実際のところ、その仕組みをよくわからずに盲目的に使っていた(実装をお任せしていた)OAuthなのですが(汗)、とても分かりやすい解説で、ひとまずここで何が行われていたのか、なるほど!とクリアになった気がします。

内容的には、プロトコルの基本的な紹介を踏まえた上で、Twitterで使われているOAuth1.0と、Facebookやmixiで採用されてるOAuth2.0のそれぞれを解説しています。ユーザ(自分)、コンシューマ(APIを利用するアプリ)、サービスプロバイダ(APIを提供するサービス)の第三者間で展開されるシーケンスに沿って、どういった内容の通信と処理が行われているのか、実際にTwitterやmixiに認証されるまでをサンプルを使って逐一詳細しているのでわかりやすいです。またサービスプロバイダ側の実装についても触れてます。

自分的にはまだ、いまいち署名まわりの仕組みや取り回しがよく理解できてないのですが、そもそも基本的な仕組みを知らない上に1.0と2.0の違いなんていわんやという状態だったので (それに自分で実装するワケでもないので…)、じゅうぶん勉強になりました。ちなみにサンプルがPHPというのも、個人的には理解の一助になっていた気がします。。

ところで筆者ですが、お名前をどこかで…と思ったら、数年前にお仕事でお世話になったことのある大塚さんでした。解説者としてもわかりやすく丁寧で、さすがという感じです。


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これ買いました:書籍「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」 [本]

携帯(がらけー)の認証でよく使われている、いわゆるかんたんログインに関して、仕事で少し課題があったので、この本を手に取ってみました。

かんたんログインが孕む諸問題については、ネットを検索をすれば関連する情報がたくさん得られますので、本書を読んだところで、目新しい情報や完璧な解決策が得られるわけではないのですが、本書ではまさにタイトルにあるように、関連する情報が体系的にまとまっているところにとても理解を助けられました。

携帯キャリアのゲートウェイや端末の仕様などの前提となる情報から、かんたんログインの仕組みと問題となる点、想定しうる攻撃パターンなどが載ってます。かんたんログインについては結局、携帯IDの信頼性という点であまり推奨される方法ではなくCookieベースに移るべきというのが世の中的(?)に言われていることですが、その理由がよくわかりました。

個人のブログなどだけでは情報が断片的になってしまう場合が多いので、自分のように前提となる知識に乏しい場合は非常に有り難い本です。図説も多く説明も丁寧で、技術者ではない自分でも、非常にわかりやすく読めました。本書まるまる一冊、一般的なセキュリティに関する知識として学んでおくのも悪くないかと思われます。


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これ買いました:「一〇〇年前の世界一周 ある青年の撮った日本と世界」 [本]

とあるドイツ人青年が1905年に行った世界一周旅行の記録。各地で記録した写真と回想録に解説が加えられた紀行本。

一〇〇年前の世界一周 ある青年の撮った日本と世界

1905年当時の世界中の写真を見ているだけでも面白い。観光地の美しい風景写真もありますが、それよりも街中や一般の人々を写した日常の風景がとても興味をひきます。

歴史的な瞬間を切り取った写真というのは、教科書や記録写真で見ることがありますが、逆に当時の取り立てて何の変哲もない、普通の日常の風景とはどういうものだったのか、見たことがなかったことに気づきます。映画やドラマのセットではない、日常の風景が写っています。

  • ドイツからニューヨークへの船上、迫害から逃れようと出国するユダヤの人々
  • 高層ビルに自動車、高架の鉄道と馬車とが交わるニューヨークの近代的な街角
  • 日露戦争直後の東京で、木造二階建ての商店が並ぶ街路とそこを行き交う人々
  • 日本の端正な和室、調度品や装飾、ふすまの絵柄などのディテール
  • 「日本昔ばなし」に出てくるような、日本のド田舎の風景
  • 点在する簡素な平屋と人々、寂寥感が漂う朝鮮の街並み
  • 立派な城壁とは対照的に、荒れて雑然としてみえる紫禁城の周辺
  • 人も建築も密集度が高く、活気が溢れ開放的な雰囲気の上海
  • 〝去年の写真〟と言われてもわからないかもしれないインドの沐浴風景… などなど

やはり興味深いのは日本の写真。日露戦争に勝利したとはいえ欧米よりも近代化で遅れていたのだから、ニューヨークの街と比べても文明に差があるのは当然ですが、その歴然具合には驚き。長い歴史の中のほんのこの100年で、世界の都市は驚くほど変化し、均質化して距離が縮まったのだというのがわかります。

という感じでパラパラと写真を見てるだけでも楽しめるのですが、この青年の旅行を通じた成長から帰国後の人生までを辿るので、一代記の物語としても面白いです。


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